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東京地方裁判所 昭和29年(ワ)11号 判決

理由

「清算会社における株主に対する残余財産分配の方法は金銭をもつて為すのが一応の原則であることまさに原告等が主張しているとおりであり、金銭による分配がまた株主平等の原則に最も相応しい方法でもあるといい得よう、しかしながらこれはあくまでも原則にすぎないのであつて、本件におけるが如く、清算手続中の会社の株主が残余財産の分配方法として、総意をもつて、金銭による分配に代えて他会社(註、清算会社の第二会社)の株式で分配せられたい旨を表明しているような場合には、清算人は金銭をもつて分配することを要せず、右の株式をもつて分配することもまた許されるというべく、この場合、株主の総意が何等かの形で表明せられていれば足り、株主総会の決議という形式によるを要しないものと解する。そうだとすれば、立川飛行機が残余財産の分配方法として被告会社の右株式を一般市場で購入取得した行為は即ち清算目的の適法な範囲内の行為であり,その取得行為は法律上有効であること明かである。」

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